───── 小さなピアノの家 ─────
2007/2/28

念願かなって手に入れた家は建築家によって「小さなピアノの家」と名づけられた森の中の小さな家だ。夫はかねてから作曲小屋が欲しいと思っていたのだが、私たちはもう少し時間をかけて見つけるつもりだった。初めてここを訪ねた時、この家は我々にウインクし、私たちはすっかり魅了されてしまった。
この家の名前などはずいぶん後になって知ったのだが、そういわれればダイニングキッチンに据え付けられたテーブルはグランドピアノの形をしているし、リビングに下りる7〜8段の階段はピアノの鍵盤のようにも見える。不思議な形のヴェランダはこの家全体が上から見るとグランドピアノの形になる、その先端の部分らしい。たくさんの窓の内いくつかはわざと傾けてあって、設計図を見てくれた友人の1人は、この部屋を寝室にすると船酔いみたいにならないだろうかと心配してくれたが、今のところ私たちはそれをとても楽しんでいる。
夫は初めてここに来た時に庭にあったカモシカと野うさぎのフンが心を決めさせたと言っているが、山荘を手に入れたら是非庭に植えたいと話していたベニサラサドウダンの大木もここにはあったし、家の近くに小川があったら素敵、と思っていたとおり、敷地のすぐ脇をせせらぎが流れている。2人ともずっと都会で生活してきたのでいつでも何でも手に入る便利さに慣れてしまっているので、ここでの生活は大変かもしれない。第一、本当の冬の厳しさを知らないのだし・・・。幸せなことに暖冬のお陰で私たちの雪の中の暮らしは穏やかである。